2026年9月11日金曜日

オルカン含み益100万円消失の真実——「終わった」ではなく「ここが正念場」。2026年9月の暴落原因・実績データ・今後の見通しを投資家目線で完全解説


 「NISAのオルカンで含み益が100万円以上消えた」——2026年9月、こんな声が投資系SNSを埋め尽くしています。

しかし結論を最初に言います。

オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)は2026年9月10日時点で、過去1年+25.5%・設定来+271.7%のトータルリターンを記録しています。「終わった」商品ではありません。

2026年9月10日時点では、直近1カ月はマイナスとなったものの、過去1年では+25.5%、設定来では+271.7%と、短期的な下落を含めても中長期では大きく資産が増えている実績が確認できます。年平均利回りに換算すると、設定来(約7年9カ月)で約18.6%、過去3年では約23.3%に達しています。それでも今、目の前の含み益が消えたことは「つらい」現実です。なぜ消えたのか、いつ戻るのか、何をすべきかを、最新の実績データとともに整理します。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴います。最終的な判断はご自身の責任のもとで行ってください。


「含み益100万円が消えた」——今回の下落の全体像

過去の暴落と今回の位置づけ

2024年7月と2025年4月にオルカンが暴落しました。この時オルカンが下げた原因は円高やトランプ関税です。2026年3月のイラン・原油関連の下げ程度で暴落とは言いません。2024年の暴落は「27,282円→22,688円」で下げ幅は4,594円(-16.8%)。2025年の暴落は「28,060円→22,827円」で下げ幅は5,233円(-18.6%)。どちらも短期的に見れば暴落と言える水準です。</cite>

過去2回の本格的な暴落は「-16〜18%」の水準でした。2026年の下落はそれと比べてどの程度か、という相対的な視点が重要です。

2026年4月24日時点でオルカンの基準価額は35,767円で推移していた。2024年4月時点の基準価額は24,005円だったから、1年間でおよそ49%も上昇した計算になる。

「含み益が100万円消えた」と感じるのは、それだけ直前に「含み益が非常に大きかった」からでもあります。純資産総額が約11兆2,328億円にまで膨らんだオルカンが、少し調整するだけで大きな金額に見える——という「大きくなったゆえの振り幅」という側面があります。

2026年9月の下落——2つの要因の「ダブルパンチ」

基準価額は「株価の変動」だけでなく「為替レートの動き」にも左右される。米国株が横ばいでも、ドル安・円高が進めば円建てのオルカンは下落します。逆に円安が進めば基準価額の押し上げ要因になります。2025年前半は米国株の軟調さと円高が重なり、ダブルパンチとなって投資家の含み益を大きく削る形になりました。

2026年9月の局面でも、同じ「ダブルパンチ構造」が発生しています。

ダブルパンチの正体

円高の急進:日米協調介入(7月31日・推計5〜6兆円規模)後、ドル円が160円超から150円前後へ急速に下落。オルカンの約60%を占める米国株の「円換算価値」が目減りした。

米国株の軟調:ウォーシュFRBが明確な利下げシグナルを出せない中、米国市場の成長鈍化懸念が浮上。S&P500の一時的な頭打ちが円建てオルカンの下落を加速させた。


オルカンの「本当の力」を実績データで確認する

2026年7月末の実績トータルリターン(公式月次レポート)

過去1カ月: ▲1.3% / 過去3カ月: +4.5% / 過去6カ月: +11.2% / 過去1年: +29.5% / 過去3年: +87.5% / 設定来: +275.2%</cite>

「直近1ヶ月はマイナス」という現実は正しい。しかし見る期間を伸ばせば全く違う景色が見えます。

設定来+275.2%という数字は「最初に100万円を投資した人が今や375万円になっている」ということです。この事実は円高局面でも消えません。

ファンドがベンチマークをわずかに上回っている

月次レポートには指数そのもの(ベンチマーク)の値も掲載されており、設定来ではファンドの実績+275.2%に対し、ベンチマークは+273.2%となっています。低コストで指数に忠実に追随することを目指す設計でありながら、ファンドの実績がベンチマークをわずかに上回っている点も興味深いところです。

信託報酬を払ってもベンチマークを上回っているという事実は、このファンドの運用品質の高さを示しています。「コストが安くて実力もある」という評価を実績が裏付けています。


「暴落したときに買う」は、実際には誰もできない

「下落局面こそ買い場だ」——これは理論的には正しい。しかし現実はどうか。

暴落したときに買うと言っている人ほど、実際に暴落が来てもまだ下がると言って買わないものです。

この指摘は鋭い。人間の心理として、「まだ下がるかもしれない」という恐怖感が、合理的な行動を阻みます。

ドルコスト平均法が「心理的欠陥」を補う

毎月一定額を積み立て続けるドルコスト平均法の最大の価値は「安い時に自動的に多く買える」仕組みにあります。意識的に「今が底だから買う」という難しい判断を不要にする設計です。

2024年9月には一時1ドル=140円台まで円高が進みましたが、10月に入ると円安方向に転じ、10月末には152.25円まで円安が進行。2024年10月の「為替要因」による基準価額の変動額は月間で1,600円のプラスとなり、9月30日の2万4,913円から10月31日の2万6,623円まで1,710円上昇しました。上昇分のほとんどが為替要因によるものでした。

2024年9月の円高局面でオルカンを黙って持ち続けた(または積み立てを続けた)投資家は、翌月の急反発をまるごと取り込めています。「今回の円高も一時的」という可能性を排除できません。


今後の見通し——オルカンはどうなるか

「円高が進んでもオルカンは上昇する見通し」の根拠

円高が進んでもオルカンは上昇する見通しなので、下落に一喜一憂せずに長期保有しよう。

その根拠は世界経済の成長トレンドにあります。オルカンが追うMSCI ACWI指数は、世界47カ国の大中型株約3,000銘柄を網羅しています。特定の国や通貨ではなく「世界全体の企業の成長」に乗る商品であるため、円高で短期的に下落しても、世界経済が成長し続ける限り長期的には右肩上がりになるという論理です。

3つのシナリオと時間軸

シナリオ主要条件オルカンへの影響
強気(1〜2年後に回復)FRBが利下げ転換+円高一服為替ヘッドウインドが消え、ドルベース上昇が円でも確認できる
中立(2〜3年かけてジリ上げ)日米金利差が緩やかに縮小短期的な波はあるが積立の効果で平均コストが安定
弱気(数年の低迷)米国経済のリセッション+円高定着一定期間は基準価額の低迷が続く可能性あり

最も重要な点は、過去7年8ヶ月で+275.2%という実績から言えば、「どのシナリオになっても長期保有者が報われた歴史」があるということです。


今すぐやること・やってはいけないこと

✅ やること

①「含み損の内訳」を確認する 証券会社のアプリで「外貨建て評価額」を確認し、「為替分の下落」と「株価分の下落」を分けて把握してください。ドルベースでプラスなら、円高が解消すると含み益が戻る可能性があります。

②「積立を続ける」——これだけでいい 円高は心理的な不安も増幅させました。海外資産を円に換算したときの目減り感が強まると、積立を一時停止したり、解約を検討する投資家も出て、短期的な下落圧力をさらに強めた可能性があります。

一時停止・解約を選んだ投資家は、その後の回復局面を逃してきました。「続けること」が長期投資の最も重要なアクションです。

③「生活防衛資金との分離を確認する」 生活費6ヶ月分が預金で確保されていれば、投資分が含み損になっても生活への影響はありません。この分離ができていれば「待てる」状態です。

❌ やってはいけないこと

①損切りして確定損失にする 含み損は「売るまでは損ではない」。損切りすれば、将来の回復分を永久に受け取れなくなります。

②「もっと下がるかもしれない」と積立を止める 下がった局面で積立を止めると、ドルコスト平均法の効果が失われます。「安く仕込める期間」を自ら捨てることになります。

③全ての資産をNISAに突っ込んで「待てない状態」にする 含み損でも動揺しないためには、「失っても生活に影響しない資金」だけをNISAに入れていることが前提です。


まとめ:「実績+275%の商品が2024年から保有している人にとって終わることはない」

本記事のポイントを整理します。

  • 実績データが示す事実:設定来+275.2%(年率約18.6%)。過去1年+29.5%。月次では直近1カ月のみマイナス(2026年7月末)
  • 今回の下落の原因:円高急進(日米協調介入後)+米国株の軟調という「ダブルパンチ」
  • 過去との比較:2024年・2025年の本格的な暴落(-16〜18%)と比べると今回の局面は「調整の範囲内」の可能性がある
  • 損切りが最悪な理由:含み損を永久に確定させ、回復後の上昇を受け取れなくなる。NISAでは損益通算も不可
  • 最善の行動:生活防衛資金を確保した上で、積立を静かに続けること

「暴落したときに買うと言っている人ほど、実際には買わない」——この言葉が刺さる人ほど、今「積立を止めようか」と思っているかもしれません。その「止めたい衝動」を乗り越えた先に、長期投資の最大のリターンが待っています。


著者プロフィール

仮面サラリーマン

大手メーカー勤務の現役サラリーマン。投資歴20年以上。
世界経済、国際情勢、資源市場、日本株・米国株投資を中心に分析しています。

本ブログ「日本と世界の今がわかるニュース解説ブログ」では、
ニュースの表面的な話題だけではなく、その背景にある経済構造や地政学リスクまでわかりやすく解説しています。

特に中東情勢、エネルギー問題、為替市場、AI革命など、
今後の世界を左右するテーマを継続的に発信しています。

モットーは
「ニュースの裏側を知れば、未来のリスクとチャンスが見えてくる」

世界秩序の変化に関する図解

written by 仮面サラリーマン

【イラン通貨リヤル大暴落】なぜ1ドル200万リヤル時代に?経済崩壊・ドル化・日本への影響を徹底解説【2026年最新版】


「給料をもらった瞬間に両替所へ走り、すべて米ドルに換える」

「昨日まで買えていた卵やパンが、今日は倍の値段になっている」

現在、中東の主要国であるイランで、私たちの想像を絶する歴史的な通貨危機が進行しています。闇為替市場におけるイラン・リヤルの価値は壊滅的に下落し、ついに**1ドル=200万リヤル**という驚愕の水準に到達しました。

日本で暮らす私たちにとって、中東の通貨問題は一見遠い国の出来事のように思えるかもしれません。しかし、イランは世界有数の原油産出国であり、ホルムズ海峡の安全保障を握る地政学上の最重要拠点です。同国の経済崩壊とハイパーインフレは、石油資源の9割以上を中東に依存する日本経済や、私たちのガソリン代・電気代・株価に直結する重大リスクとなり得ます。

本記事では、プロの視点からリヤル暴落の構造的要因、国内で進行する「ドル化」や「物々交換経済」の実態、中国・ロシアによる支援の限界、そして日本経済や個人投資家が受ける波及効果までを徹底分析・ブラッシュアップして解説します!


📌 【結論】イラン通貨リヤル大暴落は国家存続を揺るがす構造的危機

イランで起きている現象は単なる「為替の下落」ではなく、国家に対する国民の信用が完全に瓦解した「法定通貨の死」を意味します。

  • ハイパーインフレとドル化:自国通貨リヤルは決済手段としての信頼を失い、米ドルや暗号資産、さらには生活物資(食用油・卵など)による物々交換が実質的な経済を支えています。
  • 米制裁と特権階級の二極化:長年の米国の金融制裁・原油輸出制限がボディブローとなり外貨が枯渇。一方で政権の中枢を担う「革命防衛隊」は闇ルートや利権で生き残る二重構造が定着しています。
  • 日本への波及効果:ホルムズ海峡の地政学リスク高騰を通じて、日本の原油調達コスト上昇・ガソリン高・エネルギー株や日本株全体のボラティリティ急増に直結します。

1. イラン通貨リヤル大暴落とは何が起きているのか?「1ドル=200万リヤル」の衝撃

まずは、足元で起きているイラン・リヤルの相場動向と、現地住民を襲う猛烈なハイパーインフレの現状を整理します。

公式レートと「闇レート(自由市場)」の途方もない乖離

イラン政府が発表する「公定為替レート」と、市民が実際に取引する「闇為替レート(自由市場レート)」の間には絶望的な格差が存在します。政府は外貨流出を防ぐために実態からかけ離れたレートを維持しようとしていますが、実質的な経済活動はすべて闇レートで動いています。

指標・項目 過去の水準(2018年以前) 現在の水準(2026年最新) 市民生活への影響
対ドル為替レート(闇レート) 約4万〜10万リヤル 約200万リヤル 購買力が数十分の一以下に壊滅
推定インフレ率(年率) 15%〜20%前後 50%〜60%超(体感100%以上) 日用品の価格が毎週のように改定
実質的な決済手段 イラン・リヤル 米ドル、金(ゴールド)、暗号資産 自国通貨に対する信頼が完全に消失

「買い物袋いっぱいの紙幣」でもパンしか買えない世界

紙幣の価値が目減りするスピードが速すぎるため、高額紙幣を発行しても追いつきません。電子決済カードやスマートフォンの決済アプリが普及しているものの、ネットワーク障害やシステム不審から、市民は「現物資産(ドルや金)」への逃避を急速に強めています。


2. なぜリヤルは暴落したのか?根本的な4つのトリガー

リヤルの歴史的暴落は、一夜にして起きたものではありません。長年にわたる構造的要因が重なった結果です。

① 米国による極限圧迫(制裁)とSwift締め出し

2018年に米国がイラン核合意(JCPOA)から離脱して以降、再発動された包括的な経済制裁が最大の原因です。特に国際決済ネットワーク(SWIFT)からの排除により、イランの銀行口座は世界から孤立し、正常な外貨送金や貿易決済が事実上不可能となりました。

② 主力財源である「原油輸出」の激減

イラン国家財政の柱である原油輸出が、米国の二次的制裁(イラン産原油を購入した国や企業も制裁対象とする措置)により大幅に制限されました。中国など一部の国へ割引価格で密輸しているものの、正規ルートに比べて得られる外貨(米ドル)は激減しています。

③ 金融緩和と中央銀行の「信用失墜」

財政赤字を穴埋めするため、イラン中央銀行は無計画な通貨発行(紙幣の印刷)を続けました。裏付けのない通貨増刷は通貨価値の希釈を招き、自国の中央銀行に対する国民の信用は完全にゼロとなりました。

④ 地政学的緊張と軍事衝突リスクの高まり

中東情勢の緊迫化に伴い、「戦争が始まればリヤルは紙くずになる」という恐怖心理が市場を支配。市民や企業が一斉に手持ちのリヤルを米ドルや暗号資産に逃避させたことが、暴落速度をさらに加速させました。


3. 崩壊する国民生活|「ドル化」と「物々交換経済」の全貌

通貨崩壊が社会の現場で何を引き起こしているのか、その過酷な現実を解き明かします。

「給料日即両替」——ドル化経済のメカニズム

イランの一般労働者は、毎月の給与をリヤルで受け取った直後、闇両替所や闇ルートを通じて一刻も早く「米ドル」や「テザー(USDTなどのステーブルコイン)」に換金します。リヤルのまま銀行口座に置いておくだけで、翌週には実質的な資産価値が数パーセント目減りするためです。

「卵」や「食用油」が通貨に代わる物々交換の世界

ハイパーインフレが深刻化する地方や中小商店では、紙幣への信用が皆無となった結果、保存性の高い「食用油」「小麦粉」「卵」「燃料」などが実質的な交換媒体(通貨代わり)として取引される事例が増加しています。これはソ連崩壊時やジンバブエのハイパーインフレ期にも見られた、典型的な**「経済構造の先祖返り(原始的経済への退行)」**です。

国家が「通貨主権」を失う恐ろしさ

中央銀行が発行する自国通貨が国内で使われなくなり、敵国である米国の通貨「米ドル」が市場を支配する現象を**「ドル化(Dollarization)」**と呼びます。自国通貨が使われない以上、政府は金融政策(金利操作など)による景気コントロール能力を完全に失うことになります。


4. なぜ政権は崩壊しないのか?革命防衛隊の特権構造

経済がこれほど崩壊しているにもかかわらず、イラン体制が維持されている理由は政治・軍事構造の特殊性にあります。

経済を支配する「イスラム革命防衛隊(IRGC)」

イランには正規軍とは別に、最高指導者に直属する精鋭軍事組織「革命防衛隊(IRGC)」が存在します。IRGCは単なる軍事組織ではなく、石油、建設、通信、密輸ルートなど、イラン国内主要産業の大部分を傘下の企業を通じて実質支配しています。

制裁下でも潤う特権階級と国民の格差

IRGCや政権中枢の特権階級は、正規の金融ルートを介さない密輸ネットワークや暗号資産マイニング、公定レートと闇レートの差額を利用した「為替サヤ取り」によって莫大な外貨利権を保持しています。経済制裁のダメージを直接受けるのは一般市民であり、政権中枢はむしろ制裁による「闇市場の独占」で利権を拡大させているのが実態です。


5. 中国・ロシア・BRICSはイラン経済を救えるのか?

「米国の制裁に対抗し、中国やロシアがイランを救済するのではないか?」という見方がありますが、現実的な限界が存在します。

中国向け割引原油と「人民元決済」の限界

中国はイラン産原油の最大の買手ですが、米国の制裁リスクを考慮し、市場価格より大幅に割り引いた価格で購入しています。また、決済に使われる「人民元」は中国国内からの輸入代金にしか使い道が限定されるため、イランが必要とする米ドルやユーロの代替にはなり得ていません。

ロシアとの「制裁国同士の野合」

ウクライナ侵攻により自国も西側制裁を受けるロシアとイランは、軍事・経済協力を強めています。しかし、双方とも自国通貨(ルーブルとリヤル)が不安定であり、国際的な流動性を持たない通貨同士の取引では、イランのハイパーインフレを止める決定打にはなりません。

「ドル離れ」とBRICS共通通貨の幻想

BRICS拡大に伴い「ドル覇権の終焉」が叫ばれることもありますが、世界の中央銀行の外貨準備や貿易決済における米ドルのシェアは依然として圧倒的です。金(ゴールド)や人民元へのシフトは一部で進むものの、リヤルのような超弱小通貨を肩代わりできる国際体制はまだ存在しません。


6. 世界の通貨危機・ハイパーインフレとの比較

イランの状況を客観的に捉えるため、過去および現代の他の通貨危機事例と比較します。

国・地域 危機の主な原因 イランとの共通点・違い
ベネズエラ 原油依存・ポピュリズム政策・制裁 【酷似】原油依存と米国制裁により自国通貨ボリバルが実質崩壊。現在も深刻なドル化が進行中。
ジンバブエ 乱脈な農地改革・無制限の紙幣増刷 【違い】イランは産業基盤が一定存続しているが、過度の通貨増刷によるハイパーインフレ構造は共通。
トルコ(トルコリラ) 異例の低金利政策・インフレ 【違い】トルコは西側金融ネットワーク(SWIFT)に留まっており、イランほど壊滅的な孤立状態ではない。
ワイマールドイツ(1923年) 巨額の戦時賠償金・中央銀行の紙幣増刷 【共通点】「通貨への信認」が完全に途切れ、現物資産(金や他国通貨)へ資金が逃避した歴史的教訓。

7. 日本経済と投資家への影響|「対岸の火事」ではない理由

イラン・リヤルの崩壊と中東の経済混乱は、日本経済や株式市場にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

① ホルムズ海峡封鎖リスクと「原油ショック・ガソリン高」

追い詰められたイラン政権が取る最大のカードが、世界の原油輸送の要衝である**「ホルムズ海峡の封鎖・妨害」**です。日本の原油輸入の約9割は中東に依存しており、仮にタンカーの航行が停滞すれば、原油価格(WTI原油先物)は一気に1バレル=100ドル〜120ドル台へ急騰するリスクがあります。

結果として、日本のガソリン価格上昇、電気代・ガス代の再高騰、あらゆる食品・物流コストの押し上げ(悪性のインフレ)に直結します。

② 日本株・米国株への影響

  • 全体相場:原油高による世界的なインフレ再燃は、米連邦準備制度理事会(FRB)や日本銀行の利下げを阻み、株式市場全体(S&P500や日経平均株価)にとって強力な下押し圧力となります。
  • プラス影響を受ける銘柄:INPEXなどの資源開発関連株、石油元売り大手(ENEOS等)、商社株(三菱商事、三井物産等)。
  • マイナス影響を受ける銘柄:空運・陸運(燃料高)、化学メーカー(原材料高)、電力・ガス会社。

8. 投資家はどう行動すべきか?イラン危機から学ぶ資産防衛術

「通貨崩壊」のプロセスから、個人投資家が学べる最大の教訓は**「単一通貨(特に円)のみで資産を保有するリスク」**です。

① 資産のマルチカレンシー化(ドル建て資産の保有)

イラン国民がドルを買って身を守ったように、私たち日本人も「日本円だけ」に頼る資産構成は危険です。米国株や米ドル建てMMF、外貨建て債券など、米ドル建ての資産をポートフォリオに組み込むことが基本の防衛線となります。

② 有事の金(ゴールド)の保有

国境を越えて価値が保証される無国籍の「金(ゴールド)」は、インフレや地政学リスクに対する最強のプロテクションです。純金積立や金ETF(1328など)を活用し、総資産の5%〜10%程度を割り当てることが推奨されます。

③ 実物資産・インフレヘッジ銘柄の活用

法定通貨の価値が目減りする局面では、エネルギー関連株、コモディティETF、不動産(REIT)など、インフレと連動して価値が上昇しやすい実物資産の比率を高めることが有効です。


9. よくある質問(FAQ)

Q1. なぜイラン通貨リヤルはここまで暴落したのですか?

A. 主な原因は、長年にわたる米国の経済制裁(SWIFT排除・原油制限)による外貨不足、政府・中央銀行による無計画な通貨の過剰発行、そして中東情勢悪化に伴う国民の「リヤル離れ(ドル逃避)」です。

Q2. 1ドル=200万リヤルとは、具体的にどのくらい異常なのですか?

A. かつて1ドル=数万リヤルだった時代と比べ、通貨価値が数百〜数千分の一に低下したことを意味します。紙幣の数字が大きすぎて買い物や計算が困難になり、市民は「リヤルを提示されても受け取りを拒否する」レベルに達しています。

Q3. イラン国民はどうやって日々の生活を維持しているのですか?

A. 給料を受け取った瞬間に米ドルや暗号資産に換金するほか、地方では食用油や燃料など現物物資を用いた「物々交換」、あるいは海外に住む親族からの外貨送金によってかろうじて生活を維持しています。

Q4. 日本の「円安」とイランの「リヤル暴落」は何が違うのですか?

A. 日本の円安は日米の金利差などを背景とした市場の価格形成であり、円自体は世界中で自由に取引できる極めて高い信用を持っています。一方、イランのリヤル暴落は「通貨への信頼そのものが消失したハイパーインフレ」であり、根本的に性質が異なります。


10. まとめ|通貨の信認が失われた世界から私たちが学ぶこと

イラン・リヤルの崩壊は、決して遠い中東の珍しいニュースではありません。国家の信用が失われたとき、紙幣がいかに速く「ただの紙くず」に変わるかを示す、歴史的な教訓です。

  • 自国通貨(リヤル)の死と「ドル化」「物々交換」の実態を正しく把握する。
  • 米国の制裁構造と、政権特権階級(革命防衛隊)による二重構造を知る。
  • 地政学リスクの高まりから、日本の原油価格・ガソリン代・株価への波及に警戒する。
  • 「円」だけに依存せず、外貨・金・インフレヘッジ資産でポートフォリオを強固にする。

世界情勢の大きな変動期において、ニュースの表面的な数字に惑わされず、その裏にある経済構造を読み解いて行動することが、私たちの資産と生活を守る最大の武器となります。

著者プロフィール

仮面サラリーマン

大手メーカー勤務の現役サラリーマン。投資歴20年以上。
世界経済、国際情勢、資源市場、日本株・米国株投資を中心に分析しています。

本ブログ「日本と世界の今がわかるニュース解説ブログ」では、
ニュースの表面的な話題だけではなく、その背景にある経済構造や地政学リスクまでわかりやすく解説しています。

特に中東情勢、エネルギー問題、為替市場、AI革命など、
今後の世界を左右するテーマを継続的に発信しています。

モットーは
「ニュースの裏側を知れば、未来のリスクとチャンスが見えてくる」

世界秩序の変化に関する図解

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