2025年12月22日月曜日

【三重・四日市】くすの木パーキング運営会社が破産。被害274台の賠償はどうなる?「泣き寝入り」を避けるためのポイントを解説


三重県四日市市の中心部で発生した未曾有の冠水被害。多くの高級車や大切な愛車が水没した「くすの木パーキング」の運営会社、第三セクター「ディア四日市」が破産を申し立てたというニュースは、被害者のみならず地域住民に大きな衝撃を与えています。

「賠償金はどうなるの?」「結局、天下り組織の逃げ得なの?」という切実な疑問に対し、現状の情報を整理し、今後の見通しを詳しく解説します。



1. ディア四日市の破産申し立てと「くすの木パーキング」冠水被害の経緯

2025年12月18日、四日市市の地下駐車場「くすの木パーキング」を運営する第三セクター「ディア四日市」が、津地裁四日市支部に破産手続きの開始を申し立てたと発表しました。

1-1. 被害車両274台、負債額2億5千万円の衝撃

事の発端は、同年9月12日夜の記録的な大雨です。地下1階・2階ともに浸水し、合計274台もの車両が水没被害に遭いました。負債総額は約2億5,000万円に上りますが、これには被害車両への補償額は含まれていません。

1-2. なぜ事業継続を断念したのか?復旧費用と経営状況

同社は「復旧には多額の費用が必要であり、自力での事業継続は不可能」と判断しました。設備が完全に壊滅した地下駐車場の復旧には、電気系統や排水ポンプの全面刷新が必要となり、一民間企業(または三セク)の体力では賄いきれないレベルの損失だったことが伺えます。

1-3. 裁判所が選定する「破産管財人」の役割とは

今後は、裁判所から選ばれる「破産管財人」が会社の資産を整理します。被害者への対応もこの管財人が窓口となりますが、会社側に資産がほとんど残っていない場合、直接的な賠償金の支払いは非常に厳しい状況が予想されます。


2. 被害者は「泣き寝入り」確定?破産後の賠償・補償の現実

最も気になるのが「補償」の行方です。法的な観点から見ると、現実はかなり厳しいものがあります。

2-1. 運営会社の資産から賠償金は支払われるのか

一般的に、会社が破産すると「残った資産」を債権者(お金を貸している銀行や被害者など)で分配します。しかし、今回の負債額を考えると、被害者一人ひとりに十分な修理代や買い替え費用が支払われる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。

2-2. 四日市市(第三セクター株主)の責任と公金投入の可能性

ディア四日市は、四日市市が約31%を出資する第三セクターです。

  • 「市が関わっているのだから税金で補償すべき」という声。

  • 「一私企業の負債に公金を投入するのは不公平」という反対意見。

    現状、市が直接的に車両被害を全額補償する法的義務はありませんが、政治的な判断が注目されます。

2-3. 「止水板の故障放置」は人災か?過失責任を問う法的論点

掲示板等でも指摘されている通り、**「電動止水板の故障を数年前から放置していた」**という疑惑があります。もしこれが事実であれば、「天災」ではなく「管理不備による人災(過失)」として、損害賠償請求の有力な根拠となります。


3. 車両保険なし・残クレ利用者は要注意!今すぐ確認すべきこと

運営会社からの補償が期待薄である以上、個人の保険対応が生命線となります。

3-1. 車両保険の「水災補償」が適用されるケース・されないケース

ご自身の車両保険を確認してください。

  • 一般タイプ・エコノミータイプ: 多くのケースで台風や洪水による水没は補償対象となります。

  • 注意点: 補償を受けても「1等級ダウン」となるため、翌年以降の保険料との兼ね合いを計算する必要があります。

3-2. 残価設定ローン(残クレ)返済中に車が水没した際の落とし穴

掲示板で最も悲痛な声が上がっているのが、残クレ利用者です。

【残クレの恐怖】

車が全損して動かなくなっても、ローンの残債(および数年後の残価分)の支払い義務は消えません。 保険金が残債を下回る場合、手元に車がないのに借金だけが残る「二重ローン」状態に陥るリスクがあります。

3-3. 保険会社による「代位行使」と破産手続きの関係

保険金を受け取った場合、運営会社への賠償請求権は保険会社に移ります(代位行使)。個人で争う手間は省けますが、保険未加入の方は自力で破産債権の手続きを行う必要があります。


4. ネットで批判殺到?第三セクター「ディア四日市」の特異な組織構造

今回の破産劇で、運営実態に対する強い批判が集まっています。

4-1. 役員15人に対し従業員はわずか数名?「天下り」批判の背景

市の資料によると、同社は取締役15名に対し、従業員はわずか4〜5名という、いわゆる「逆ピラミッド型」の組織でした。

  • 役員の多くは市役所OBや関係団体の「充て職」であり、これが適正な経営やリスク管理を妨げていたのではないかという指摘が相次いでいます。

4-2. 止水板のメンテナンスを2021年から放置していた疑い

「止水板が動いていれば、地下2階の全損は防げたはず」という批判は非常に合理的です。2021年から故障を放置していたという情報が事実なら、経営陣の「善管注意義務違反」を問う声が強まるのは当然でしょう。

4-3. 「逃げ得」は許されるのか?歴代役員への責任追及の可否

会社が破産しても、個人の役員に責任を負わせるには「悪意または重大な過失」を証明する必要があります。これはハードルが高いですが、市民や被害者の感情としては到底納得できるものではありません。


5. 今後の見通し:駐車場の再開と被害者のための相談窓口

5-1. くすの木パーキングは今後どうなる?市による買収の噂

四日市市は、中心市街地の利便性を維持するため、駐車場自体を買い取って公営化、あるいは新たな指定管理者に委託する方向で調整しています。しかし、復旧には年単位の時間がかかる見込みです。

5-2. 集団訴訟や弁護士への相談を検討すべきタイミング

破産手続きが進む中、個人で交渉するのは困難です。被害者同士で情報を共有し、法テラスや弁護士会の無料相談を利用して、自分の立ち位置を明確にすることをお勧めします。

5-3. 被害者説明会や四日市市の公式発表をチェックする方法

今後、破産管財人による債権者集会などが開催される可能性があります。四日市市の公式サイトや、破産管財人から届く通知書(郵送物)は一字一句見逃さないようにしてください。


執筆者の視点:

今回の破産は、単なる倒産ニュースではなく、第三セクターという「責任の所在が曖昧になりがちな組織」が招いた悲劇といえます。愛車を失った方々の無念が、少しでも適切な形で報われることを願って止みません。

次に私ができることとして、例えば「水災に遭った際の保険金請求の具体的な流れ」や「破産債権届出書の書き方」について詳しくお調べしましょうか?


written by 仮面サラリーマン