その①
「初恋」村下孝蔵
さみだれは~
で始まる、雨の歌。
初恋だけでなく思春期そのものの空気にマッチしているような歌です。ゆっくりすぎず、あせりすぎないビート感も素敵です。
その②
「Runner」爆風スランプ
夏の夕立の中を走り抜けていく、その疾走感と天気雨的なイメージも喚起させてくれる世界が、むちゃくちゃ少年的でカッコいいです。
その③
「激しい雨が」THE MODS
こぶしをつきあげたくなる衝動と、体の奥から湧き上がってくる得体の知れない激しい感覚が、なんででしょうかね、いまもまるで10代の頃のような気分になれます。
その④
「スプリンクラー」山下達郎
1983年の秋にリリースされた曲です。「高気圧ガール」や「クリスマス・イブ」とも違いますが、山下達郎らしいサウンドが繰り広げられているのが聴き入ってしまうポイントではないでしょうか。
どこか不穏な、いわゆるリゾートテイストではない人間の感情が感じられます。
季節はずれな突然の豪雨の日に、ふとイントロが思い浮かぶことが多いです。
ほら、まるで夏のような眩しい日差しから急転直下に雲行きが怪しくなってきて雷が轟いて激しい雨が降ってきたときのような。
短編の小説や映画を味わっているような感覚になれるというか、いや、でも
やはり音楽だからこそ表現できているというのが実際のところでしょう。
降り注ぐ雨を詩的に表現しています、「壊れたスプリンクラー」と。詩的かつ都会的です。まさしくシティポップス。
唯一無二の存在感を放つ、雨の一曲です。
その⑤
「Rainy rainy」来生たかお
雨の日だからこそ、軽快なステップというかスキップというか、ちょっと弾んだ気分になる曲です。
その⑥
「そして僕は途方に暮れる」大沢誉志幸
もうすぐ雨のハイウェイです。ガラス窓越しに感じる雨模様のイメージ。安全で乾いた環境に身を置きながら、外の雨を眺めているような感覚。イメージするときは弱い雨でもゲリラ豪雨でもOKな感じがします。気持ちを洗いきよめてもらえるような音色が広がっています。
その⑦
「思いがけないSituation」崎谷健次郎
大人な雨の歌といえば、恋の要素は欠かせないですよね。
やぶれかぶれのような、ちょっと「どうにでもなれ」的な要素もある雨の日の恋の歌です。ちょっと違うか。
車の中から雨を見ているイメージですが、雨が激しすぎて街の景色が霞んでしまっている感じがしてしまいます。
その⑧
「ドラマティック・レイン」稲垣潤一
雨が降っているからこその輝きって、ありますよね!
雨粒ならではの乱反射。濡れた道路の跳ね返り。
都会だからこそみたいな。アスファルト、ガラス、信号機、看板、街路樹。あらゆるものが濡れて輝いていて。
映像が思い浮かんでしまう一曲です。
イントロのインパクトも素晴らしい!
その⑨
「雨のウェンズデー」大瀧詠一
雨が降らないほうが良かったけど雨が降っちゃったよなあ、という気分に浸りたいときに最高な一曲です。
海が見たいって言ったのは君じゃないか、みたいな静かなイラッとした感じというか、アンニュイっぽさというか、まあキレイごとだけじゃない世界の恋物語というか。
作詞/松本隆 作曲/大瀧詠一
収録アルバム「A LONG VACATION」
80年代の、『まだJ-POPという呼び名』が存在していなかった時代の、けれどもJ-POP最高峰と言っても過言ではない名盤の、雨の歌です。
ちなみに「A LONG VACATION」は、CDとして初のラインナップだったアルバムだったと思います。CDというものが世界に初めてお目見えしたときの一枚なわけです。日本から世界へ送り出す「高品質な音楽」として、文句なしに選ばれた名盤という感じではないでしょうか。
私は(残念ながら)リアルタイムでは聴いていないのです。が、「同級生の兄貴」が持っていて、同級生が絶賛していて、別の友人から借りたカセットテープで聴いて衝撃的なサウンドに感じられたのを今でも覚えています。
とにかく『サウンド』です。
雨の音が入っていないのに、リアルに雨の音を感じてしまいます。
そして⑩
「TONIGHT」佐野元春
佐野元春が1984年にリリースした、当時の
ニューヨークの最先端な雰囲気がぎゅっと詰め込まれている名作「VISITORS」に収録されています。
雨あがりの情景とスピード感が最高です。
雨あがりのキラキラ感は、初めて聴いたときのまま今も自分の胸に焼き付けられている気がします。
『心に映したピクチャー』という表現が大好きです。
風景を切り取っているだけのようにも思えて、とてつもない喜怒哀楽が込められている感じがするのもポイント。
明日のことは誰にもわからないさ。でも望みがあるよ。そんな気分というか励ましというか、自分で自分に歌っているような錯覚を楽しめる一曲です。
以上が、自分勝手に選んだ「雨の名曲 J-POP80's」10曲です。
90'sならばこの一曲
「最後の雨」中西保志
J-POPという言葉が定着した時代の、まさにJ-POP中のJ-POPそのスタンダードな存在の一曲であり、ずばり雨の名曲です。
間奏のギターなんて、奇跡としかいいようのないフレーズに思えてしまいます。
カラオケで熱唱する友人や知人が多かったのですが、どんな歌の巧い友人たちの印象深い歌唱よりも、オリジナルの歌唱力の凄さ!
中西保志さんの絶対的で、ゆるぎのない歌声。
良い意味で80年代のエッセンスがありつつ、80年代にはなかったテイストなんですよね!
まとめ
タイトルに「雨」がつかなくても、いえむしろ
雨とつかないからこその名曲も多いですよね!
梅雨もゲリラ豪雨もなんのその
written by 水瀬次郎