2024年11月2日土曜日

実証実験としてのベーシックインカムがロサンゼルスでスタート


条件付きで限定的なようですが、ベーシックインカム実証実験がロサンゼルスで始まるようです。


ベーシックインカムというのは、『所得保障』の目的で『政府が全国民に定期的に一定金額を支給する』というのが定義だったように思っていました。だから限定的なのはベーシックインカムとは言えないんじゃないかと感じるのですが『ベーシックインカムの実証実験』というのがポイントなのでしょう。実験してみてデータなどをとったりしてから国民全体に支給していくという感じでしょうか。

個人的には、ベーシックインカムに対する怖さのひとつがあってそれが「導入されるときには年金制度が廃止されたり会社の賞与制度が消滅するんじゃないか?」というものです。そのあたりに配慮をしてなのか『ベーシックインカムを始めても年金は止めない』という発言を見たか聞いたかしたような記憶もありますので、当初の意図から離れていくにせよ注目しているところです。

マイナンバーカードと電子マネーの普及で、必ずしも現金振込みじゃなくてもベーシックインカムというか給付金は成立する気がします。電子マネーなら『期限付き通貨』のような性格にもできるでしょうから、そのあたり経済学者のあたりで活発に議論してくれると聞き応えありそうです。その延長線上で日本人からノーベル経済学賞の受賞もあればいいなと想像しています。

さてタイトルの「実証実験としてのベーシックインカムがロサンゼルスでスタート」の元になっているニュースはこちらです↓




岸田総理が掲げている「新しい資本主義」にも注目しています。単純に新しいものは好きというか興味が湧くし、世の中が良くなっていくならそれはそれでいいことだなと素直に思うからです。

衆議院議員選挙が終わって、近いうちに「新しい資本主義」に関する会議からの提言とか発表とかもあるみたいなので、そちらにも注目しています。かなり解釈の余地が広いテーマなので言葉だけではわかりにくい気もするのですが内閣官房のホームページに掲載されている情報だけでは構成や日程に関する情報がメインですね?



ベーシックインカムに関してはまだまだ議論の余地があるうえに発展の余地もありそうなので、選挙での公約で『これだ!』と掲げられてしまうよりも、国会に限らずさまざまな立場や職業からの意見で議論が広がっていくと面白そうだなと感じています。最初は浅い内容の議論だとしても議論が深まるうちに知識見識が深まっていって成熟していくのではないでしょうか。

というわけで、ベーシックインカムに対しては賛成か反対かではなく『こういう仕組みならどうだろうか』という視点で見て行きたいと思い始めています。

【2024年11月加筆】
[Updated November 2024]

1. ベーシックインカムの背景と目的

ベーシックインカムとは ベーシックインカム(BI)は、政府が全ての国民に対して一定額の現金を無条件で定期的に支給する制度です。この制度の目的は、貧困の解消や経済的な安定を図ることです。特に、経済的に困難な状況にある人々にとっては、生活の基盤を支える重要な手段となります。

ロサンゼルスでの実証実験の背景 ロサンゼルス市では、2021年11月からベーシックインカムの実証実験が開始されました。この実験は、特に新型コロナウイルスの影響で生活が困難になった世帯を対象としています。対象となるのは、ロサンゼルス市に住む18歳以上の住民で、連邦政府が定める貧困レベル以下の所得を持つ世帯です。

2. 実証実験の詳細

支給額と期間 この実証実験では、対象となる約3,200世帯に対して、毎月1,000ドルが支給されます。支給期間は2022年1月から1年間です。支給された資金の使途には制限がなく、受給者は自由に使うことができます。

対象者の選定基準 対象者は、以下の条件を満たす必要があります:

  • ロサンゼルス市在住の18歳以上の住民

  • 連邦政府が定める貧困レベル以下の所得

  • 扶養している子供が1人以上いる、または妊娠中である

  • 新型コロナウイルスの影響で経済的・医学的に困難な状況にある

3. 実証実験の成果と課題

初期の成果 実証実験の初期の成果として、受給者の生活の安定が報告されています。特に、生活費の支払いが容易になり、経済的なストレスが軽減されたとの声が多く聞かれます。また、受給者の中には、支給された資金を使って新たなビジネスを始めたり、教育に投資したりする人もいます。

課題と今後の展望 一方で、ベーシックインカムの実施にはいくつかの課題もあります。例えば、財源の確保や、既存の社会保障制度との整合性などが挙げられます。また、長期的な効果についてはまだ不明な点が多く、今後のデータ収集と分析が重要となります。

4. 他の地域でのベーシックインカムの取り組み

カリフォルニア州ストックトン市 カリフォルニア州ストックトン市では、2019年にベーシックインカムの実証実験が行われました。この実験では、125人の住民に対して毎月500ドルが2年間支給されました。結果として、受給者の生活の安定や、フルタイムの仕事を見つけやすくなるなどの効果が報告されました。

フィンランドの実験 フィンランドでも、2017年から2018年にかけてベーシックインカムの実証実験が行われました。この実験では、2,000人の失業者に対して毎月560ユーロが無条件で支給されました。結果として、受給者の幸福度が向上し、精神的な健康状態が改善されたとの報告がありました。

5. ベーシックインカムの未来

テクノロジーとベーシックインカム テクノロジーの進化により、ベーシックインカムの実施がより現実的になっています。例えば、ブロックチェーン技術を活用することで、支給の透明性や効率性が向上する可能性があります。また、AIを活用したデータ分析により、受給者のニーズに応じた支援が可能となります。

環境に優しいベーシックインカム 環境問題に対する意識が高まる中、ベーシックインカムも環境に配慮した形で実施されることが期待されています。例えば、再生可能エネルギーを使用した支給システムや、環境に優しい生活を促進するためのインセンティブが考えられます。

6. ベーシックインカムの社会的影響

貧困の解消 ベーシックインカムは、貧困の解消に大きな効果をもたらすと期待されています。特に、低所得者層や失業者にとっては、生活の基盤を支える重要な手段となります。また、貧困が解消されることで、社会全体の安定や経済成長にも寄与することが期待されています。

社会的な平等の促進 ベーシックインカムは、社会的な平等を促進する手段としても注目されています。全ての人々に対して一定額の現金を支給することで、経済的な格差を縮小し、社会的な平等を実現することができます。また、これにより、全ての人々が平等な機会を持つことができる社会が実現されることが期待されています。

7. ベーシックインカムの課題と解決策

財源の確保 ベーシックインカムの実施には、膨大な財源が必要です。このため、財源の確保が大きな課題となります。解決策としては、税制改革や新たな税収源の確保が考えられます。例えば、富裕層への課税強化や、環境税の導入などが挙げられます。

既存の社会保障制度との整合性 ベーシックインカムを導入する際には、既存の社会保障制度との整合性も重要な課題となります。これに対しては、既存の制度を見直し、ベーシックインカムと統合することで、効率的な社会保障制度を構築することが求められます。

8. ベーシックインカムの実施に向けたステップ

実証実験の拡大 まずは、実証実験を拡大し、より多くのデータを収集することが重要です。これにより、ベーシックインカムの効果や課題をより正確に把握することができます。また、異なる地域や対象者に対して実験を行うことで、より多様な視点からの分析が可能となります。

政策の策定と実施 実証実験の結果を基に、具体的な政策を策定し、実施に移すことが求められます。この際には、財源の確保や既存の社会保障制度との整合性を考慮しながら、効率的かつ公平な制度を構築することが重要です。

ベーシックインカムは、貧困の解消や社会的な平等の促進に大きな可能性を秘めています。しかし、その実施には多くの課題も伴います。今後の実証実験や政策の策定を通じて、より効果的な制度を構築することが求められます。最新の情報を基に、ベーシックインカムの未来を見据えた議論が続けられることを期待しています。



written by 水瀬次郎



オリジナル投稿:2021年11月2日

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