先日、依頼を受けてオリジナルレシピのマフィンを焼いたのですが、あらためて ”化学反応ってすごいなぁ” と。
作ってたのはマフィンで、こういう焼き菓子だと膨らせるのにベーキングパウダーを入れます。
ただ、今回はちょいと特殊なものを試作しており、ベーキングパウダーを使用するけど中身が硬くつまった感じにしました。
そこで、ベーキングパウダーに加えて少量の重曹(ベーキングソーダ)を入れると同じ材料・分量・作り方だったのにふんわりと膨らみました。
ベーキングパウダーは酸性で、そこにアルカリ性の重曹を加えたので化学反応が起こった&促進されたんだろうなぁ、という程度に考えてもらえばいいです。
・・・・・・
えーっと、以下は化学式で頭痛を起こさない方だけ読み進めてください。
わたしが使っているベーキングパウダーの成分を見ると、
・コーンスターチ
・炭酸水素ナトリウム
・焼ミョウバン
・d-酒石酸水素カリウム
・フマル酸1ナトリウム
・ショ糖脂肪酸エステル
が入っています。
水分を加えることで①アルカリ性の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)と焼ミョウバンなどの酸性剤が反応して、および②炭酸水素ナトリウムが熱によって分解されて炭酸ナトリウム(Na2CO3)と水と炭酸ガスが発生します。生地中でこの炭酸ガスが発生することで膨らませることになります。また、③アルカリ性の炭酸ナトリウムは酸性剤によって中和され、このときにまた炭酸ガスが発生します(参考:Wikipediaなど)。
反応式としては、
① NaHCO3 + HX(酸性剤) → NaX(中性塩) + H2O + CO2↑
② 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2↑
③ Na2CO3 + HX(酸性剤) → NaX(中性塩) + H2O + CO2↑
ただ、ベーキングパウダーは一般的に酸性と言われるので、ということは酸性剤のほうが多く含まれているのでしょう。
さてここで、重曹は重炭酸ソーダを略した言い方で、これは重炭酸ナトリウムのことであり、炭酸水素ナトリウムのことでもあります。はい、ベーキングパウダーに入っているものそのものです。
今回のマフィンの試作で重曹を追加したとき、酸性のベーキングパウダーにアルカリ性の炭酸水素ナトリウムを追加することになり、これは反応式①左側のNaHCO3が増えるので酸性剤との反応を促進させることにつながります。また、焼いてる最中の反応式②自体も増えるので、結果としてベーキングパウダーだけよりも炭酸ガスの発生量が増えることになります。なので重曹を加えると膨らむ力が強くなったんですね。
・・・・・・ただ、重曹を多く加えすぎると反応する酸性剤が消費されて足りなくなってしまい、炭酸水素ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムが残ることになるので、焼き上がったときにこれらの苦味が現れてしまいます。
普通、ここまで考えて料理することはないです(笑。
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