佐藤隆さんの音楽には、お洒落な空気感が漂っています。
が、心の深淵を覗き込まれてしまうような、なんとも言えない「ある種のコワさ」も感じてしまうのです。
いちばん最初に知ったのは「マイ クラシック」でした。
1984年、夏。突如として耳にこびりついてしまった一曲です。
無機質なベースラインが、とてつもなく心地良くて、だけど、
「え! だれ? なに、この曲」
と、疑問符ばかり。
心地良くて素晴らしい音楽なんですが、どうにも『聴いたことない』『知らない』感が強烈にありました。
かといって、新人ではなさそうですし。
それまでは、知る人ぞ知る存在感だった気がします。
「マイ クラシック」
ああ。
むちゃくちゃ気持ちいいメロディライン。
歌詞の意味は、よく分かりませんでした。
が、
『わかる』
って感じてしまうわけです、
『うん。これ、わかるわかる』
と。
なにがわかるのか分かりませんが、どうにも「香り」がするのです。
視覚に訴えてくるMVとも違いますし、聴覚を冴えさせる歌とも異質で、「マイ クラシック」が流れてくると、急に周囲の香りが気になりだすんですよ。
それも、自然な香りではなく、香水のほう。
行ったことのないパリを想像しながら、
「巴里の舗道を歩きながらウォークマンで聴きたい」
とか思ってました。
「マイ クラシック」と、ほぼ同じ時季に「桃色吐息」が大ヒットしています。
「桃色吐息」を歌っているのは高橋真梨子さんですが、『あ。この音楽は佐藤隆だな』とすぐピンと来たのも覚えています。
2020年、秋。
なぜか急に思い出して、ふたたび聴いています。
懐かしいというより、なぜか「いま」のような錯覚が自分の中に起きているので、もうしばらく何曲か聴くことにします。
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