2020年10月6日火曜日

マイ クラシック 佐藤隆



 佐藤隆さんの音楽には、お洒落な空気感が漂っています。


が、心の深淵を覗き込まれてしまうような、なんとも言えない「ある種のコワさ」も感じてしまうのです。


いちばん最初に知ったのは「マイ クラシック」でした。







1984年、夏。突如として耳にこびりついてしまった一曲です。

無機質なベースラインが、とてつもなく心地良くて、だけど、

「え! だれ? なに、この曲」

と、疑問符ばかり。

心地良くて素晴らしい音楽なんですが、どうにも『聴いたことない』『知らない』感が強烈にありました。


かといって、新人ではなさそうですし。




それまでは、知る人ぞ知る存在感だった気がします。

「マイ クラシック」

ああ。

むちゃくちゃ気持ちいいメロディライン

歌詞の意味は、よく分かりませんでした。

が、

『わかる』

って感じてしまうわけです、

『うん。これ、わかるわかる』

と。


なにがわかるのか分かりませんが、どうにも「香り」がするのです。

視覚に訴えてくるMVとも違いますし、聴覚を冴えさせる歌とも異質で、「マイ クラシック」が流れてくると、急に周囲の香りが気になりだすんですよ。


それも、自然な香りではなく、香水のほう。


行ったことのないパリを想像しながら、

「巴里の舗道を歩きながらウォークマンで聴きたい」

とか思ってました。


「マイ クラシック」と、ほぼ同じ時季に「桃色吐息」が大ヒットしています。

「桃色吐息」を歌っているのは高橋真梨子さんですが、『あ。この音楽は佐藤隆だな』とすぐピンと来たのも覚えています。







2020年、秋。

なぜか急に思い出して、ふたたび聴いています。


懐かしいというより、なぜか「いま」のような錯覚が自分の中に起きているので、もうしばらく何曲か聴くことにします。

written by 水瀬次郎


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