◆ Familiar with Manyoshu ◆ ~ No.4 ~ Tamakatsu ……
万葉集に親しむ
Familiar with Manyoshu
その4:玉葛……
Part 4: Tamakatsu ……
今回は、切ない恋心を詠った歌を取り上げました。これは、大伴宿禰(おおとものすくね)が巨勢郎女(こせのいらつめ)に求婚をするときに詠んだ歌に、巨勢郎女が返した歌です。
玉葛花み咲きてならずあるは誰が恋にあらめ我は恋ひ思ふを
(一〇二 巨勢郎女)
🌸玉葛(たまかずら)のように花だけ咲いて実がならないのは、一体どこのどなたの恋なのでしょう。わたしはこんなに思い慕っておりますのに……。
🍁この歌の前に、大伴宿禰は、「葛の花のように実がならないのは、恐ろしい神のたたりだといいますよ……」と、一向に実りを見せることのない恋心を詠って巨勢郎女へ送っています。それに対して巨勢郎女は、「実らないのはあなたのせいでしょう?」と上記の歌を返しているのですね。あの時代も、相手の心の中が分からずに悶々としていたようです。これはまさしく恋の奥義。あからさまに思いをオープンにするよりも、ちょっと引いて、相手の思いを引き出すという大人の恋。見習うところ多しです。ちなみにこの二人はめでたく結婚して夫婦になったようですよ。
💡この「玉」は「葛」にかかる接頭語で、「玉葛」は、長く蔓を伸ばすということから「永遠に、末永く」という意味で「花」や「実」の前に置かれる枕詞です。相互に、「あなたと結ばれて永遠の関係を持ちたいのに、どうしてそれが分かってもらえないのでしょう」という気持ちを婉曲的に表現しているのですね。見えそうで見えないもの、分かりそうで分からないものに心惹かれるのは、昔も今も同じなのかもしれません。
This time, I picked up a song about a sad love. This is the song that Otomo Sukune wrote when he proposed to Kose no Iratsume, and the song was returned by Otomo Sukune. Tamakatsuhana Misaki isn't there, but who's in love, I'm in love (102 Giant Rojo) 🌸 Who is the one who blooms like Tamakazura and doesn't bear fruit? I'm so fond of it ... 🍁 Before this song, Otomo Jukusei said, "It's said that it's a terrifying god's tatari that doesn't bear fruit like a kudzu flower ..." I am sending it to the giant woman. On the other hand, Gioseiro-jo returns the above song, "Is it your fault that it doesn't bear fruit?" Even at that time, it seems that he was in agony without knowing the other person's heart. This is exactly the mystery of love. Adult love that draws out the thoughts of the other person by pulling a little rather than opening the thoughts openly. There are many places to learn. By the way, it seems that these two people got married happily and became a married couple. 💡 This "tama" is a prefix for "kuzu", and "tamakuzu" is a makurakotoba that is placed in front of "flower" and "fruit" in the sense of "forever, forever" because it grows vines for a long time. .. They euphemistically express the feeling that "I want to have an eternal relationship with you, but why don't you understand it?" It may be the same in the past and present that I am attracted to things that seem to be visible but not visible, and things that seem to be understandable and unknown.
This time, I picked up a song about a sad love. This is the song that Otomo Sukune wrote when he proposed to Kose no Iratsume, and the song was returned by Otomo Sukune. Tamakatsuhana Misaki isn't there, but who's in love, I'm in love (102 Giant Rojo) 🌸 Who is the one who blooms like Tamakazura and doesn't bear fruit? I'm so fond of it ... 🍁 Before this song, Otomo Jukusei said, "It's said that it's a terrifying god's tatari that doesn't bear fruit like a kudzu flower ..." I am sending it to the giant woman. On the other hand, Gioseiro-jo returns the above song, "Is it your fault that it doesn't bear fruit?" Even at that time, it seems that he was in agony without knowing the other person's heart. This is exactly the mystery of love. Adult love that draws out the thoughts of the other person by pulling a little rather than opening the thoughts openly. There are many places to learn. By the way, it seems that these two people got married happily and became a married couple. 💡 This "tama" is a prefix for "kuzu", and "tamakuzu" is a makurakotoba that is placed in front of "flower" and "fruit" in the sense of "forever, forever" because it grows vines for a long time. .. They euphemistically express the feeling that "I want to have an eternal relationship with you, but why don't you understand it?" It may be the same in the past and present that I am attracted to things that seem to be visible but not visible, and things that seem to be understandable and unknown.
【2024年4月加筆】 [Updated April 2024]
万葉集の背景と歴史
万葉集は、日本最古の歌集であり、奈良時代に編纂されました。約4500首の歌が収められており、天皇から庶民まで幅広い階層の人々の歌が含まれています。万葉集は、日本の古典文学の中でも特に重要な位置を占めており、その多様な表現やテーマは現代にも通じるものがあります。
玉葛の歌
「玉葛(たまかずら)」は、万葉集の中でも特に美しい表現が多く見られる歌の一つです。玉葛は、蔓植物の一種で、その絡み合う様子が人間関係や感情の複雑さを象徴しています。この歌では、恋愛や友情、家族愛など、さまざまな人間関係が詠まれています。
最新の研究とイベント情報
2024年4月から2025年3月にかけて、奈良県立万葉文化館では「万葉集をよむ」という連続講座が開催されます。この講座では、万葉集の巻8を中心に、各回ごとに異なるテーマで歌を読み解いていきます12。以下は、講座の詳細です。
- 開催期間: 2024年4月24日(水)~2025年3月26日(水)
- 開催時間: 各回14:00~15:30(開場13:30)
- 開催場所: 奈良県立万葉文化館
- 参加費: 無料
- 定員: 各回150名(予定)
- 申込方法: 事前申込不要(オンライン参加は要事前申込)
講座スケジュール
- 4月24日: 春の雑歌(ぞうか)(1)1418~1427番歌
- 5月22日: 春の雑歌(ぞうか)(2)1428~1431番歌
- 6月26日: 春の雑歌(ぞうか)(3)1432~1440番歌
- 7月24日: 春の雑歌(ぞうか)(4)1441~1447番歌
- 8月28日: 春の相聞(そうもん)(1)1448~1455番歌
- 9月4日: 春の相聞(そうもん)(2)1456~1464番歌
- 10月23日: 夏の雑歌(ぞうか)(1)1465~1471番歌
- 11月27日: 夏の雑歌(ぞうか)(2)1472~1479番歌
- 12月4日: 夏の雑歌(ぞうか)(3)1480~1488番歌
- 1月22日: 夏の雑歌(ぞうか)(4)1489~1497番歌
- 2月26日: 夏の相聞(そうもん)(1)1498~1506番歌
- 3月26日: 夏の相聞(そうもん)(2)1507~1510番歌
万葉集の魅力を深めるために
万葉集の歌を理解するためには、その背景や歴史を知ることが重要です。以下のポイントに注目してみてください。
- 歌のテーマ: 万葉集には、恋愛、自然、人生の喜びや悲しみなど、さまざまなテーマが詠まれています。これらのテーマは、現代の私たちにも共感できるものが多いです。
- 表現技法: 万葉集の歌は、比喩や擬人法などの修辞技法を駆使して、美しい表現がされています。これらの技法を学ぶことで、歌の深い意味を理解することができます。
- 歴史的背景: 万葉集が編纂された奈良時代の歴史や文化を知ることで、歌の背景にある時代の雰囲気や人々の生活を感じ取ることができます。
参考文献とリソース
万葉集をさらに深く学ぶための参考文献やリソースをいくつか紹介します。
- 書籍: 「万葉集全訳注」(角川ソフィア文庫)、大岡信「万葉集を読む」(岩波新書)など。
- オンラインリソース: 奈良県立万葉文化館の公式サイトや、万葉集に関する学術論文が掲載されているデータベースなど。
まとめ
万葉集は、日本の古典文学の中でも特に重要な作品であり、その魅力は時代を超えて多くの人々に愛されています。今回の「玉葛」に続く情報として、万葉集の背景や歴史、最新の研究やイベント情報を提供しました。これを機に、さらに万葉集の世界に触れてみてください。
1: 奈良県立万葉文化館のイベント情報 2: 奈良県観光公式サイト「あをによし なら旅ネット」
written by Kazusa
オリジナル投稿:2019年4月26日
恋が実る歌は素敵ですね!それにしても返しがうますぎます。
返信削除いじらしい女心。こんな歌を返されたらぎゅって抱きしめたくなってしまうのでは…?
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