2024年5月9日木曜日

飛鳥山に渋沢栄一の晩香盧

 


飛鳥山は小高い丘です。いえ、東京でいちばん低い山です。

飛鳥山の標高は東京でいちばん低い山?


広大な敷地面積、そのなかには、かつて渋沢栄一の住まいがありました。
旧渋沢庭園と呼ばれている一角です。
旧渋沢庭園には、ふたつの建物が残っています。
住まいは空襲で焼失したものの、レセプションルームとして活用されていた「晩香盧」と、接客にも利用された「青淵文庫」です。

渋沢栄一の喜寿(77歳)を祝って、清水組(清水建設)が贈りました。




渋沢栄一は大変気に入り、91歳で亡くなられるまで交流の場として積極的に活用しています。おしゃれなレセプションルームという趣です。
暖炉真上にタイルで文字  壽 が施工されています。




晩香盧は栗の木が使われています


栗の木は、防虫性が高いことで知られているのですが、実際に住宅に使われる実例は多くないのかもしれません。スギやヒノキに比べて、住宅用木材としての製造量そのものが少ないですし、住宅よりも家具に利用されて、高級仕様になるケースが多いです。

林業の現場では、かなり古くから使い続けられています。屋外に放置してある木造施設が栗の木だと、白アリの被害がないそうです。白アリは地中に自然に生息しているので、屋外で特別な防水防虫施工をしないと、たいてい被害にあうのですが、そういうことがないんだとか。

吸湿性に優れている桐のタンスは、火事に強いことで知られています。
防虫性の高い栗の家具は、虫害から守りたい紙類などの貴重品の保管に最適です。

渋沢栄一の晩香盧は、運よく戦火を免れました。それだけでなく、内装がいまなお美しいのは、栗の木の効果かもしれません。

なお、栗の木は、伐採してからも時間がかかります。
加工できるようになるまで、5年から10年。ひたすら乾燥させるためです。
乾燥が甘いと、ゆがんでしまうのがデメリット。
長い年月でゆがむことなく耐久性が発揮されているということは、それだけ良質な栗の木材が使用されているのだとわかります。


栗の木は、建物だけでなく家具や調度品の良質さも象徴しています。



【メモ】
渋沢栄一の漢詩「菊花晩節香
晩香盧の名前の由来になっています。



設計したのは、田辺淳吉。清水組の技師長です。清水組は、現在の清水建設です。

田辺淳吉は、渋沢栄一にゆかりのある建物を設計しています。
次の「青淵文庫」も、さらには埼玉県深谷市にある「誠之堂」も手がけています。



国指定重要文化財 晩香廬・青淵文庫内部公開

渋沢史料館の入館券でご覧になれます(一般300円 小中高100円)
渋沢史料館開館日の 10:00〜15:45



庭木の剪定が見事です。ついつい、見入ってしまいます。

1917


 晩香盧は1917年に、渋沢栄一の喜寿を祝ってつくられましたから、その年を表す「1917」の文字が、さりげなく散りばめられています。


建物の外観は、とても落ち着いた雰囲気。
どことなく森の中を想起させる雰囲気です。
昼でも照明が必要かな? というくらいの、ほの暗さも。

その理由は、軒先です。

軒先は、屋外の柱で支えられるほど長く設計されているので、良い意味で日除け効果に。



ハートのデザイン

 晩香盧では、「1917」の他にも、ハート形のデザインが、ひそんでいます。



晩香盧はデザインの宝庫 


ツイッターで、晩香盧の各所が紹介されています。
現地では、あまりにも自然に溶け込んでいる繊細な場所だったりするので、あらためて写真で見ると『こんなふうになっていたのか』と気づかされます。

なかには、スタッフに声をかけないと見ることのできないスペースも。

蝶番と鋲

そして、火鉢

傘立て。100年経っても現役です。
タイル
 屋外施工のタイル。階段にもあります。







晩香盧は、豊かな自然に包まれています。

新緑の季節は、とくに色鮮やかです。




つづきは、こちらの記事をごらんください

↓ 青淵文庫

飛鳥山で日本経済の光を感じられる青淵文庫


【2024年5月加筆】 [Updated May 2024]

飛鳥山と渋沢栄一の晩香盧

飛鳥山公園内にある晩香盧(ばんこうろ)は、日本の近代経済の父と称される渋沢栄一の喜寿(77歳)を祝って建てられた洋風の茶室です。この建物は、渋沢栄一の業績や彼が過ごした時代の雰囲気を感じることができる貴重な場所です。2024年5月時点の最新情報を含め、晩香盧の魅力や見どころ、利用案内について詳しくご紹介します。

晩香盧の歴史と特徴

晩香盧は、1917年(大正6年)に竣工しました。清水建設(旧清水組)の4代目当主、清水満之助が渋沢栄一の喜寿を祝って寄贈したもので、国内外の賓客を迎えるレセプションルームとして使用されました1。建物はハーフティンバー様式の洋風茶室で、内部の調度品や家具には当時の最高の技術が使われています2

晩香盧は、戦災を免れた数少ない建物の一つであり、2005年には国の重要文化財に指定されました3。その保存状態は非常に良く、訪れる人々に大正時代の建築美を伝えています。

見どころ

晩香盧の見どころは、その美しい建築と歴史的価値にあります。内部には、渋沢栄一が使用した家具や調度品が展示されており、彼の生活や仕事の一端を垣間見ることができます。また、建物自体のデザインや装飾も見逃せません。特に、ハーフティンバー様式の外観や、内部の木製パネル、ステンドグラスなどが訪れる人々を魅了します2

特別展示とイベント

2024年5月には、晩香盧で特別展示「渋沢栄一と大正時代の建築美」が開催されます。この展示では、渋沢栄一の生涯と彼が関わった建築物について詳しく紹介されます。また、晩香盧の保存修理工事の過程や、その際に発見された資料なども展示される予定です3

さらに、晩香盧では定期的に講演会やワークショップが開催されており、渋沢栄一の業績や彼が生きた時代について学ぶ機会が提供されています。最新のイベント情報は、渋沢史料館の公式ウェブサイトで確認することができます4

開館時間と休館日

晩香盧の開館時間は午前10時から午後5時までで、毎週月曜日と年末年始は休館となります。特別なイベントが開催される場合は、開館時間が延長されることもありますので、事前に確認することをおすすめします4

アクセス

晩香盧は、飛鳥山公園内に位置しており、JR京浜東北線「王子駅」から徒歩約5分、都電荒川線「飛鳥山駅」から徒歩約4分でアクセス可能です。公園内には駐車場も完備されており、車での訪問も便利です2

周辺施設

飛鳥山公園内には、晩香盧の他にも北区飛鳥山博物館、紙の博物館、渋沢史料館の3つの博物館があります。これらの博物館では、地元の歴史や文化、紙の製造過程、渋沢栄一の業績などを学ぶことができます。また、公園内には広々とした芝生や遊具、季節ごとの花々が楽しめるエリアもあり、家族連れにも最適です2

まとめ

晩香盧は、渋沢栄一の喜寿を祝って建てられた洋風の茶室で、その美しい建築と歴史的価値が多くの人々に愛されています。2024年5月には特別展示「渋沢栄一と大正時代の建築美」が開催され、彼の生涯や業績について学ぶことができます。飛鳥山公園内には他にも多くの見どころがあり、一日中楽しむことができます。ぜひ、晩香盧を訪れて、渋沢栄一の偉業と大正時代の建築美を堪能してください。

1: 渋沢史料館 2: としま案内人 3: 清水建設 4: 渋沢史料館 公開カレンダー


written by 水瀬次郎

オリジナル投稿:2019年5月9日

2 件のコメント:

  1. 新紙幣の肖像になることも決まって、これからも渋沢さんの注目度は上がって行きそうですね。

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  2. 新紙幣が出る頃はキャッシュレスが進んで、お金のイメージも変化しているかもしれませんね。

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