2024年4月11日木曜日

万葉集の魅力を探る:三輪山を詠む歌の秘密

原題:◆万葉集に親しむ◆ ~その2~ 三輪山を……


万葉集に親しむ
Familiar with Manyoshu


その2:三輪山を……
Part 2: Mt. Miwa ...

The time is 667 of the Asuka period. Emperor Tenji moves the capital from Asuka to Omi. This time, we will take up the song written by Princess Nukata, who was in the party who left for Omi in the transfer of capital. It is said to be a song about farewell to the beautiful Mt. Miwa, but it is also a sad love song, isn't it?

This song, which oozes a woman's heart that makes her heart squeak every time she reads it, is also my favorite song.

She hides Mt. Miwa, or hides the clouds and her heart (Princess Nukata)

🌸 Why does the cloud try to hide the familiar Mt. Miwa like that? I want you to understand this feeling at least with the clouds alone. Clouds, please don't hide Mt. Miwa.

🍁 Along with Emperor Tenji, who travels from Asuka to Omi, the group says goodbye to the familiar Mt. Miwa and heads for Omi. This song envisions a scene in which everyone in the group looks up at Mt. Miwa, looking back over and over again, regretting parting. At the same time, Princess Nukata, who is now the princess of Emperor Tenji, is full of sad love for the Prince of the Sea (Emperor Tenmu).

💡 This is a counter-song to the long song written by Princess Nukata during the transfer of capital to Omi. Princess Nukata may have remembered the happy days of being loved by the Prince of the Sea, as he walked slowly while looking at Mt. Miwa, which was gradually moving away, with the thought of being pulled back. Hmm. No, I'm sure that Mt. Miwa, looking back over and over again, was overlaid with the image of the Prince of the Sea.

時は飛鳥時代の667年。天智天皇は都を飛鳥から近江へ移します。今回は、その遷都で近江へ旅立つ一行の中にいた額田王が詠んだ歌を取り上げます。美しい三輪山との別れを詠んだ歌といわれていますが、これは切ない愛の歌でもありますよね。

読むたびに、胸がキュンとなる女心がにじみ出ているこの歌も、大好きな一首です。

三輪山を しかも隠すか 雲だにも 心あらなも 隠さふべしや                                                                        (十八 額田王)

🌸 慣れ親しんだ三輪山を、雲は、どうしてそのように隠そうとするのでしょう。せめて雲だけでもこの気持ちをわかってほしいというのに。雲よ、どうか三輪山を隠さないでおくれ。

🍁 飛鳥から近江へ旅立つ天智天皇に連れ添って、一行は見慣れた三輪山に別れを告げて近江へと向かいます。その一行のだれもが、別れを惜しんで何度も何度も振り返っては三輪山を仰ぎ見ている、そんな情景がこの歌から思い描かれます。同時に、今や天智天皇の妃になった額田王の、大海人皇子(天武天皇)へ寄せる切ない恋心もあふれ出ている一首です。

💡 この一首は、近江遷都の際に額田王が詠んだ長歌への反歌です。徐々に遠ざかっていく三輪山を後ろ髪引かれる思いで眺めてはゆっくりと歩を進める一行の中で、額田王は、大海人皇子に愛されて過ごした楽しい日々を思いだしていたのかもしれませんね。いえいえ、きっと、何度も振り返って仰ぎ見る三輪山に、大海人皇子の面影を重ね見ていたのでしょう。

【2024年4月加筆】
[Updated April 2024]

1. 万葉集の魅力とその背景

万葉集は、日本最古の歌集であり、約4500首の和歌が収められています。奈良時代に編纂されたこの歌集は、天皇から庶民まで幅広い階層の人々の歌が収録されており、日本の古代文化や人々の生活、自然観を知る上で非常に重要な資料です。

万葉集の構成と特徴

万葉集は全20巻から成り、各巻には季節の歌や恋の歌、挽歌など様々なテーマの歌が収められています。特に、自然を詠んだ歌が多く、四季折々の風景や動植物が美しく描かれています。また、万葉仮名という独特の表記法が用いられており、現代の仮名とは異なる点も興味深いです。

2. 三輪山と万葉集

三輪山は奈良県桜井市に位置し、古代から信仰の対象とされてきた霊山です。万葉集にも三輪山を詠んだ歌が多数収録されており、その神聖な存在感が歌に反映されています。

三輪山を詠んだ代表的な歌

  • 巻1-2: 「三輪の山 いかにか君が 独り居て 思ひわたらむ 山の端の 清き月夜に」

    • この歌は、三輪山の美しい月夜を背景に、恋人を思う心情を詠んだものです。
  • 巻3-318: 「三輪山を 焼くや燃ゆる 火の燃ゆる その火によりて 妹が心も」

    • 三輪山の火祭りを詠んだ歌で、燃え上がる火に恋人の心を重ねています。

3. 2024年の万葉集関連イベント

2024年には、万葉集に関連する様々なイベントが予定されています。以下はその一部です。

奈良県立万葉文化館の講座

奈良県立万葉文化館では、2024年4月から2025年3月までの間、万葉集をテーマにした連続講座が開催されます。この講座では、万葉集の歌々をわかりやすく解説し、参加者が万葉集の魅力を深く理解できる内容となっています1

  • 開催日: 毎月第4水曜日(例外あり)
  • 時間: 14:00~15:30
  • 場所: 奈良県立万葉文化館およびオンライン
  • 参加費: 無料(オンライン参加は事前申し込みが必要)

万葉集関連の展示会

奈良県立万葉文化館では、万葉集に関連する展示会も定期的に開催されています。2024年には、特に三輪山をテーマにした展示が予定されており、三輪山にまつわる歌や歴史的資料が紹介されます。

4. 三輪山周辺の観光情報

三輪山周辺には、万葉集に関連する観光スポットが多数あります。以下はその一部です。

大神神社

三輪山の麓に位置する大神神社は、日本最古の神社の一つであり、三輪山そのものがご神体とされています。境内には、万葉集に詠まれた歌碑や歴史的な建造物が点在しており、訪れる人々に古代の雰囲気を感じさせます。

  • 所在地: 奈良県桜井市三輪1422
  • アクセス: JR桜井線「三輪駅」から徒歩約10分

三輪山登拝

三輪山は、登拝(とばい)と呼ばれる登山が許可されている霊山です。登拝には事前に大神神社での受付が必要で、神聖な山を歩くことで心身を清める体験ができます。

  • 受付場所: 大神神社 拝殿
  • 受付時間: 9:00~14:00(季節により変動あり)
  • 注意事項: 登拝には適切な服装と装備が必要です。

5. 万葉集の現代への影響

万葉集は、現代の日本文化にも大きな影響を与えています。以下はその一例です。

文学と万葉集

現代の日本文学においても、万葉集の影響は色濃く残っています。多くの作家や詩人が万葉集の歌を引用したり、そのテーマを作品に取り入れたりしています。特に、自然や恋愛をテーマにした作品において、万葉集の表現が現代の感性と共鳴しています。

教育と万葉集

日本の学校教育においても、万葉集は重要な教材として扱われています。古典文学の授業では、万葉集の歌を通じて古代の日本語や文化を学ぶ機会が提供されています。また、万葉集を題材にした作文や詩の創作活動も行われており、学生たちが古典に親しむきっかけとなっています。

6. 万葉集の研究とデジタル化

万葉集の研究は、現代においても盛んに行われています。特に、デジタル技術の進展により、万葉集のデジタル化が進んでいます。これにより、研究者だけでなく一般の人々も万葉集にアクセスしやすくなっています。

デジタルアーカイブ

奈良県立万葉文化館では、万葉集のデジタルアーカイブを公開しており、インターネットを通じて万葉集の歌や関連資料を閲覧することができます2。これにより、遠方に住む人々や海外の研究者も万葉集の研究に参加しやすくなっています。

AIを活用した研究

AI技術を活用した万葉集の研究も進んでいます。AIを用いて万葉集の歌の解析や翻訳が行われており、新たな視点から万葉集を理解する試みが行われています。これにより、従来の研究では見落とされていた新たな発見が期待されています。

7. 万葉集を楽しむためのリソース

万葉集をより深く楽しむためのリソースも充実しています。以下はその一部です。

書籍と解説書

万葉集に関する書籍や解説書は多数出版されています。初心者向けの入門書から、専門的な研究書まで幅広く揃っており、自分の興味やレベルに合わせて選ぶことができます。

  • おすすめ書籍:
    • 『万葉集入門』: 万葉集の基本的な知識をわかりやすく解説した入門書。
    • 『万葉集全訳注』: 万葉集の全歌を現代語訳と注釈付きで収録した一冊。

オンラインリソース

インターネット上には、万葉集に関する情報を提供するサイトやデジタルアーカイブが多数存在します。これらのリソースを活用することで、手軽に万葉集の世界に触れることができます。



written by Kazusa









オリジナル投稿:2019年4月11日

2 件のコメント:

  1. 返信
    1. 昔の人の恋愛って今よりももっと自由奔放だったのかもしれませんね。

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